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複合材料の繊維配向を非破壊で迅速に評価する手法を開発 研究活動 | 研究/産学官連携

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Academic year: 2018

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【ポイント】

・赤外線を利用して複合材料の繊維配向を非破壊,非接触で同定できる手法を開発し

・数分以内の測定で,繊維配向分布が高い角度分解能で得られる

・自動車分野などで,実用化が期待される不連続繊維強化熱可塑性プラスチックの品 質評価,ライン検査に応用が期待できる。

【研究背景と内容】

近年,航空宇宙分野や運輸分野で炭素系複合材料(CFRP)の実用化が期待されてい ます。特に量産が期待される熱可塑CFRP 製造技術では,繊維長,樹脂流動スピード, 温度分布の影響でプレス成型したCFRP の繊維配向の偏りやボイド発生が問題となっ ています。しかし現在の繊維配向性評価方法は強度試験やX CT 観察などが用いら れており,試料を切出す必要性や長時間を要するなど,簡便で実用的な方法がありませ んでした。

今回開発した手法は,材料の片面をレーザー等で周期的に加熱し,その熱が材料内に 拡散する速さの違いをサーモグラフィーで検出することで,非接触,非破壊で繊維の配

複合材料の繊維配向を非破壊で迅速に評価する手法を開発

名古屋大学大学院工学研究科(研究科長:新美智秀)機械理工学専攻の長野 方星

(ながの ほうせい)教授、藤田 涼平(ふじた りょうへい)(大学院修士課程)は、 赤外線を利用して炭素系複合材料の繊維配向を同定する手法を開発しました。

複合材料の繊維配向評価法としては,これまで強度試験やX CT 観察などが用 いられてきました。しかし,試料を切出す必要性や観察に長時間を要することから, より簡便で実用的な方法が求められてきました。

これに対し本手法は,材料の片面をレーザー等で周期的に加熱し,その熱が材料内 に拡散する速さの違いをサーモグラフィーで検出し,解析することで,非接触,非破 壊で繊維の配向状態を迅速(数分以内)に調べることができます。

今回の手法により、今後自動車分野などで実用化が期待される不連続繊維強化熱可 塑性プラスチックの品質評価,ライン検査に応用することも期待できます。

すでに特許を出願し,現在は株式会社ベテル ハドソン研究所と共同で製品化を進 めています。

この研究成果は、平成28128 日付(米国東部時間)複合材に関する学術雑 誌「Composites Science and Technology」にオンライン掲載されました。

(2)

向状態をわずか数分で調べることができます。

レーザーで材料を加熱すると材料内に熱が拡散されます。その熱が伝わる速度(熱拡 散率)は材料内の繊維と樹脂の含有量と繊維の向きにより異なるため,全方位の熱拡散 率の分布を測定することで繊維の配向分布を明らかにすることができます。

測定法は以下のとおり。

① 材料の片面をレーザーで周期的に加熱すると,周期的な温度信号が材料内を拡散 します。(図1

② 温度分布,温度信号の伝搬の速さと信号強度の減衰をロックイン式サーモグラフ ィーを用いて検出します。(図2

③ ②で得られた位相遅れおよび強度減衰から熱拡散率の角度分布を測定します。

④ 熱拡散率と繊維配向の相関より,繊維配向方向を決定します。(図3

図 1 原理図 図 2 温度分布および位相遅れ分布

3 熱拡散率分布と配向密度関数の相関 4 計測システム

位相遅れ解析 ダイオードレーザー

試料

ロックイン サーモグラフィ

PC 参照信号

ファンクション ジェネレータ

試料設置状況(表面加熱時)

温度応答+参照信号

(3)

【成果の意義】

本配向同定法は面 内 360 同方向の繊維配向分布が非破壊で 迅 速に得られるため, CFRP の製造プロセス,品質管理において有効な手段となります。特に自動車分野な どで実用化が期待される不連続繊維強化熱可塑性プラスチック部品の製造ライン検査 に応用が期待できます。

また,CFRP だけではなく電子機器分野における放熱材の熱抵抗・熱伝導率評価や 曲面材料の熱伝導測定やナノ粒子分散評価への応用も可能であります。

【用語説明】

・熱拡散率:温度分布を緩和して熱平衡状態なる速さ

・不連続繊維強化熱可塑性プラスチック:熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化複合材 料(CFRTP

【論文名】

掲載雑誌:Composites Science and Technology

論 文 名 :Novel fiber orientation evaluation method for CFRP/CFRTP based on measurement of anisotropic in-plane thermal diffusivity distribution

著者:Ryohei Fujita and Hosei Nagano

DOIhttp://dx.doi.org/10.1016/j.compscitech.2016.12.006

【研究助成】

・科学研究費補助金 基盤研究(B)「非連続繊維複合材のマルチスケール熱伝導分布 測定法の開発と繊維配向同定法への展開」(代表研究者:長野方星)

・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 委託事業未来開拓プログラム

参照

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